最初は、病院の長椅子に座っていた。
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段々何とも言えない不安感が増してきて、居てもたってもいられない苦しさ、我慢するとか踏ん張る事ができず、身体をどう維持したらいいのかわからない、誰か助けて!と言いたくなる様な気分の悪さが襲ってきた。

ブチッと頭の中で音がした感覚の後からずっと脳の状態がおかしかった事は確かで、酷いめまいが続いていた事だけは自覚できた。

椅子に横に倒れ込み、息が荒くなった。今思えばこれはパニック症候群に似ていたが、どこの病院でも診断はされていない。原因不明と言われた。


私の様子を見た看護師さんが、走ってきて診察室に運んでくれた。


医師は脳の疾患では無い事をチェックした後、呼吸を整えさせ、落ち着くまで病室に寝かせてくれた。


めまいはひどくなっていき、大荒れの海に流される船みたいだった。



病院で休ませてもらったお陰で、夕方には落ち着いてきた。
                                               


暗くなる頃にはやっと歩いて帰る事ができた。

そう言えばあの日、夫は病院に迎えに来る事も無く、何をしていたのか。もう忘れてしまった。帰宅した子ども達は何も知らず無邪気に夕飯を食べていた。

こんな時、やはり夫の存在も含めて、誰か協力を頼める人が必要だなあと感じた。


それからが問題だった。私はしばらくの間、外に出られなくなってしまった。

簡単な家事はできるのだが、感覚が敏感になっていて、何をしても疲労し、気分が悪くなる。

大きな病院に行ってみたが、原因不明と言われた。


脳ドック、耳鼻科、産婦人科、内科、たらい回し状態だった。

今なら、精神科にも行って、パニック発作とか何だかの診断と対処方法はあっただろう。
当時は精神科に行く勇気が無かった。

鬱病で親族が亡くなったばかりで、薬漬けになるイメージがあり、怖かった。(後に良い医師を見つける)

自分で原因を考えて見た。

夫からのストレスを溜めていた上に、M子さんの件が引き金になったと思う。出勤途中に起こったのも、無意識に身体が職場に行くのを拒否したのかもしれない。


精神科に通う事は頭になく、とにかく不調を早く治したかった。


夫は、まるで他人事で、「原因がわからないのは困るなあ。どうしたんだろうねえ。」と言うだけ。


私は買い物に出るのも困難になってしまい、仕事に復帰するのは無理だと思った。


会社に説明し、退職を了解してもらえた。


すると、M子さん以外の、パートさん達が、次々と心配して電話をくれた。

あるパートさんから言われた。

「皆心配していますよ。りんごさんはM子さんが原因で倒れたんじゃないかって。そうなんでしょう?傍からみていて気の毒だなって思っていたのよ。りんごさんが困っているの、良くわかっていたわ。でも、M子さんはりんごさんが好きで仕方ないのよね。りんごさんの気持ちなんて全くわかっていないのよね。」

え~そうだったんだ。誰も全く気にしてない風だったのに、M子さんの話題なんて一度も私にした事なかった人たち。わかっていたんだな。

「私たち、M子さんがあなたの家にお見舞いに行ったり、連絡しない様にうまく話して止めているから心配しなくても大丈夫よ。仕事を辞めてしまうのは寂しいけどゆっくり休んでね。」と言ってくれ、有り難かった。


この件が刺激になったのか、夫が仕事を見つけて来た。



   

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