今だからわかる訳で
  ⇒ また思い出した事がある。



一番下の子がお腹にいて、臨月になり、いつ生まれてもおかしくないと言う時、夫は経営者になりたいと言いだし、転職したばかりの会社を辞め、反対も無視して自営業を始めた。


私が反対したのは、夫の性格と当時の状況では絶対失敗すると確信したからだ。

「家族を食わせる為だ。良い暮らしができるんだぞ」
「僕の凄さをわかっていない。」「どうせ女なんかにはわからない」「反対ばかりして失敗したらおまえのせい」「家族がいるから仕方ないじゃないか。誰のせいなんだ」とまで言い出した。



予想通り、無計画、無準備、無資格な夫の事業は1年で失敗した。

私にほらみろと言わせないように、夫は言い訳や、ご機嫌取りをした。反省は見られなかった。

借金と支払いだけが残っていた。

普通ならもっと踏ん張って、持ち直す努力をするのだろうが、信念もなくいい加減な夫は、すぐに現実逃避するので、逆に傷が浅くすんだ。


夫はこの時、一時的に県外に出ていった。知り合いから仕事の手伝いを頼まれたからと言って。現実逃避だった。生まれた子どもの事より、自分の事が一番だったようだ。

(でも、すぐまた逃げ帰ってきた~の繰り返しの時期)


生活費さえ稼いでくれたらよいから、どこに行こうが当時はとにかく働いてくれたらよかった。


ある日、自営の時の取引先の人が自宅を訪ねてきた。


ちょうど私は仕事に復帰したところで、保育園から赤ん坊を連れて帰ったところだった。

赤ん坊を抱いたまま、玄関で立ち話になった。


「ご主人は県外に行かれたそうですね。奥様は働いておられるのですか、大変ですね」と言われ、何の用事なのかわからないまま、すぐに帰っていった。


この頃、夫の知り合いの人に会うと、同情めいた事を言われたり、可哀想にといった顔をされたりした。
「なんであんな人と結婚したのですか?」と言われたこともあった。

夫は全て人のせいにするので、私のせいにした事もあったと思う。

誤解した人が私と会うと、聞いていたイメージと違うらしく、ショックを受けるというか、ほとんどの人が一瞬で、「話が違う」と気が付くらしかった。


そりゃそうだろう、あの夫を”裏でそそのかし、脅して無責任な事をやらせた鬼嫁が全て悪い”と夫が話していたら、どんな怖いいかつい嫁かと想像されても仕方がない。


嫁のせいにして、平然としている時点で、相手は夫に問題ありと思っている訳で、実際確認しなければわからないと思われていたのだろう。


それで、このお客も、確認に来たようだった。が、夫は、反対していた私には全て内緒で勝手な事をしていたので、私は何がなにやらわからないまま。
キョトンと無邪気?にしている私の様子で、お客はすぐに真実を察したらしく「ご主人があんなで大変だと思いますが、頑張ってくださいね」と励ましてくれた。



後からわかったのだが、夫はこの人の会社に支払いが残っていた。


そして「僕は今失業中だから払えない。妻は高給取りで、払えるからそっちに請求してくれ」と言って逃げたのだった。高給取りな訳がない。それならとっくに縁を切っている。


出産で大変な時期に、働けるわけがないし、何で妻にお金ださせて平気なのか。
すぐばれる嘘をよくつけるものだ。しかも仕事の相手だった人に。


信頼を確立するというのは、どれだけ大変で、普段の行いが大事か、わかっていない。
私も含めて、自分から人を裏切りながら、「自分を評価しないのはおかしい」と怒りだすその神経が理解不能だ。


その客は、私に会って夫の嘘を確信し、「とても奥さんに請求できない、ご家族が気の毒で。返してもらうのはもう諦めた」と言っておられたようだった。


夫はそれをラッキーと思うだけで、反省や感謝するどころか、当たり前だろう、と言っていた。
結局、私を利用したわけだ。


今ではそんな事も記憶を書き換え、「自分は以前事業をしていた。経験豊富な実力派だ」と何も知らない人に自慢している。どこが事業かと笑ってしまう。


本人は嘘を真実と思い込んでしまっている。


時々、私は「過去の自分のした事を、忘れないで。もっと自分に向き合って。色んな人に迷惑をかけた事やお世話になった事を忘れないで、きちんと恩を返して。」みたいな事を夫に話してきた。



だが、記憶を書き換えている人には通じない。

カッとなって「それは妄想だろう。そんなふうに考えていたなんて君にはがっかりした。」などなど自分が被害者だと思い込んでいるふうで、話にならない。


夫の年金定期便を見ると、すごい数の会社名が並ぶ。こんなに転職した人も珍しいだろう。


結婚も、私がすぐに縁を切っていたら、今頃何回していた事だろう。私が踏ん張ったから、被害者?を増やさずにすんだかも?想像して笑った。


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