私にもプライドがある  ⇒ 続き



今思えば、あの時なぜそのまま縁を切らなかったのだろうか、最大のチャンスだったのに!と悔やまれてしかたがない。


暫くしてから、彼(夫)から連絡が来た。
旅行についての連絡だった。

そうだった。団体で参加する観光旅行の予約を一緒に入れていた。企画した会社にいた彼の友人のノルマ協力を頼まれて、申し込んでいた。



今更キャンセル料を払うのも嫌だし、別に彼に会うのも嫌だと思っていた訳でもなかったので、旅行には参加することに。


どっちみち、旅行中は隣に座るわけだし、変に避けるのもおかしいので、何も無かったかのようにふるまった。


その時の私は、結婚相手としての不安はあったが、友人としてなら気の合う楽な人だと思っていて、嫌いにはなっていなかった。


いっそのこと、あの時、嫌いになっていたら良かったのだ。嫌いにさせない彼の持つ魅力というか、(今では演技に見えるが)その明るさに誤魔化されるのだ。



当時は、若かったので、人を見る目もなく、人は変わると信じていた。

自分に自信があった訳でもなく、(こんな風に人の粗さがしばかりしていたら、一生恋人もできず、結婚できないかも)と焦っていた気がする。

旅行先で、予想通り、彼は必死で先日の件をフォローしていた。


「あれから親にちゃんと話して、誤解を解いたから。母にもちゃんと注意したよ。両親とも、申し訳ない事をした。もう一度会って謝りたい。って言ってる。だから、また実家に来てよ。今度は歓迎してくれるはずだからさ。」
と私を説得していた。



自分がついた嘘については、「ああでもしないと、君は親に会おうとしなかったでしょう。僕は早く君を紹介して結婚したかったんだ」と誤魔化していた。


うまいこと、人のせいにして、今思えば夫らしいなと思うが、当時の単純な私は、信じてしまった。

ここまでして、こんな私と結婚したいと言ってくれる人は、もう現れないかもしれないと思っていた。