以前働いていた職場に、35歳で独身、毎日お母さま手作りのお弁当を持参してくる実家暮らしの男性がいた。


周りの人が、「美味しそうね」「優しいお母さんね」と声をかけると、嬉しそうに「そうだろ?お袋の卵焼きは上手いんだ!」と自慢していた。

その反応に周りの人は、内心引いていたのだが、この男性は全く気が付いていない。


確かに、この人は何も悪くない。母親に素直に感謝し、堂々と誇らしげにお弁当を食べていて、優しい親孝行な息子さんだ。


私だって、息子から褒められたら嬉しい。


これが奥さんの手作り弁当なら何の抵抗もなく、好感持てた。

うまく言えないが、「マザコン臭?」がして、ぞわっとした。

そのせいか、何回かお見合いしても断られていたとか。

「僕のお袋は嫁いびりなんてしないから大丈夫ですよ。毎日僕に美味しいお弁当を作ってくれる優しいお袋だから。君もお袋に作り方を教えてもらえるし、助かると思う!」

なんて事を話したらしく、さっさと断られている。(当たり前だろ。)


当時、独身だった私は、その人にはっきり言った。その人とは何でも言える関係だったので。

「30過ぎて、いつまでもお母さんのお弁当を自慢したりするの、恥かしくないですか。普通の男性なら、恥かしいからいらないって断るものなんじゃないですか。仮に持ってきても、自慢なんかしないでしょ。」と。

すると
「何言ってんの?最近の若い女の子は、ろくに料理もできないだろう。うちのお袋は毎日かかさず弁当作って凄いの、わからないのかい。それに、上司の○○さんも、立派なお母さんだねとほめてくれたんだぞ。」
と反論してきた。

この人のお母様は、お弁当だけではない。ある日、突然会社に来て

「△△の母でございます。上司の〇〇様にご挨拶に参りました。」と中に入ってきて、「息子をよろしくお願いします」とお願いついでに、どんな職場かをチェックしていた。


その時も、私なら「何しに来たの。迷惑だから帰って。」と追い返すところだが、彼も慌てるかと思いきや、なんと嬉しそうにしていた。


唖然としている職場の人に向かって
「息子思いの親なんだよ。お袋は凄いだろう。」と自慢していた。


この人、結婚したらどうなるのだろう。と心配していたが、その後噂では、結婚したが、すぐに離婚したらしい。やっぱりと変に納得した。

後から聞いたが、うちの夫の若い時にも、似たような事があったようで、ああ、寄りに寄って…失敗したなあと思った。

母親に大事にされていたマザコンではなく、別の意味で、親がどんな無神経な行動をしても、いつも親を自慢し、周りに引かれてる事に気がつかないというところが同じなのだ。


夫の場合は、片思いのマザコンだ。もう今では終わった話だが。