りんごの嘆き

人生の後半もだいぶ過ぎた主婦りんごの嘆き。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わりたい。

  

斜め横の奥さんがうちを訪ねるのは、子どもが小さかった時だけだ。学校の用事位しか付き合いはなかった。

近所付き合いというか、人付き合いが得意ではなさそうだった。
一度だけ、夜、家の前でたまたま会った時に話しかけられた事があった。

奥さんは家の外に立っていて、呼び止められた。そして私に話しかけてきた。
「夫が、遊んでばかりで困ってます。朝帰りばかりして。」といきなり言われた。


「ああ、そうなのですね。」としか返事のしようがなく、他人様の事に口を出したくないし、外で話す事でも無いと思い、それ以上深入りはしなかった。



仲が良ければ、後日ゆっくり、話を聞けたのだが、何となくこのお隣さんはそんな気になれない人だった。

人んちの話を聞いてしまうと、自分ちの事も聞きだされたり、話さないといけなくなる気がして、そんな事は絶対嫌だったから。


奥さんは、いつも仕事が忙しいとかで、朝早くから夜遅くまで家におられないので、めったに会う事は無かった。


奥さんは、穏やかににこやかにこう言った。
「明日から旅行に行って暫く留守をしますのでよろしくお願いします。」


これまで、そんな事を頼まれた事は無かった。良く旅行に行かれて留守しているのは知っていたが、なぜうちに、そんな事を頼みにきたのか不思議だった。



「居間のライトを防犯の為につけたままで行きますので。」と言う。

つまり、「ライトがついていても留守だから。居留守ではない。」と言いたげだった。

それまで、ご近所の事など気にも留めた事が無かったので、そこまで教えなくてもいいのにと感じた。

この斜め横のお宅とは、玄関は反対側で、うちとの間は、塀で何も見えず、あまり気にならない位置関係で、頼むなら反対側のお隣さんにした方が良いのではと思った。


そして、ご主人の名刺を渡された。「何かありましたら、こちらへ連絡ください。」


今更名刺を貰うのも何から何まで不自然だった。


それに、何で急にうちが留守中の管理を突然頼まれるのだろう?うちだって旅行にいくかもしれないし、最初からうちに頼むと決めてきた。


ばったり会って、雑談で、そういう話題になるならわかるけど、突然家まで来て、よろしくと言われても。もし泥棒とか火事になったら。責任感じないといけなくなるし。正直いって迷惑だなあと思った。



全くお付き合いが無いのに、それに、奥さんの実家や親せきが近所におられて、いつもその人達に助けてもらっているはず。


と、思ったが、一応無難な対応をした。


すると、翌日、町内の役員のある人から電話がかかってきた。それで謎がとけた。
  


最近、我が家の斜め横のお宅のご主人の関係で、洗濯物を干したり、窓から外を眺めるのに神経をすり減らしている。


そのお宅とは特に親しくもなく、会えば挨拶をする程度。何のトラブルもない。
ただ、こっちが勝手に気を使うようになったのだ。

そうなったのには、理由がある。


同じ町内だけど、少し離れた隣の班に苦手なタイプの人が2人いる。


以前、町内会の役員が回ってきた時、たまたま係がその2人と一緒になってしまった。


運よく?2人より私の方が、年齢が上だったので、(そういう事は気にする人達みたいで)私の子分?になりたそうな雰囲気で近づいてきた。


下手にでてきて、私をやたらとヨイショするので気持ち悪く、気を付けて接していた。


だが、係の仕事が多く、何回も2人と会ったり、電話をする事が多くならざるを得なくなった。


2人は、自分の思い通りに係の仕事を変えたり、人を動かしたいらしく、でも責任はとりたくない。という困った人達だった。


その為に、私をうまく使おうとしていたのがあからさまだった。


かと言って、私の意見はきかない、何でも自分の都合の良い様にかえていこうとするのだが、失敗したら責任は私にとらせようとする。


私が一番嫌だったのは、この二人が噂話好きで、勝手な妄想でいい加減な噂を流したり、個人情報を近所の人に教えたり、悪口を言ったり、面白がっている事だった。

私は、自分が耳にした他人の根も葉も無い噂話は、きっぱり否定したのだが、全然聞き入れてくれなかった。


早く、役目が終わって、この人達と縁が切れますようにと願っていた。


そんなある日、斜め横のお宅の奥さんが、突然うちを訪ねてきた。



  

昨日、子どもの友人のお父さんが亡くなられた。

その娘さんは、お別れに間に合わなかった。帰宅途中の電車の中で、電話がきて知らされたという。


まだ若いのに何て悲しい事だろう。


まだ親と別れるには早すぎる。まだまだこれから親御さんに甘えたい事、見てもらいたい、聞いてもらいたい事が沢山あっただろう。お父さんも子どもさんともっともっとこれから楽しみが沢山あったろうに。


私自身、幸いにも両親が長生きしてくれているので、この歳になるまでその辛さ、寂しさを味わずに済んでいる。今、自分が年をとり、そろそろ覚悟を決めておかないとと、考える事ができる様になった。

それでも、親がいなくなると言うのは、どんなに寂しい事か。


自分はただでさえ未熟な人間なので、もし若い時に親と永遠の別れが来たら、受け止められなかったかもしれない。

当時、もし今、親に何かあったらと考えるのも嫌だった。反抗しながらも、どこかで甘えていたのだろう。


今でも、いざという時、頼れる存在として心の片隅に親の存在がある気がする。

色々、親に対して文句は言っているが、育ててくれ、学校に行かせてくれた。

今の自分の家庭より、ずっと子どもとして安心感はあった。父親がしっかりしていてくれた。


自分の子ども達より、その点は恵まれていた。


いざと言う時、頼れる親ではない自分は、親以下だと思う。親を乗り換えないといけないのに、まだ心配させている。

その上、夫が甘えている。こんな人の為に、親不孝な人生を選んでしまったのは情けない。


この友人の他にも、子どもの知人が、白血病で亡くなったという。


同世代の悲しいお別れに、あまり親しくなかった人の話であっても、我が子はショックを受けている。




どうぞ安らかにお眠りください。そして残されたご家族を見守っていてください。合掌



  

続く災害。


自分も災害体験があるので、PTSDなのか、どこかで被害がでるたびに心臓がバクバクしてくる。


大阪の台風も、北海道も、被災地に友人がいる。


私が災害にあった時、この二人はメールや手紙をくれ、励ましてくれた。


今度は私がメールを送った。大変な時だろうし、届いてないかもしれないので、返信はいらないと書き足した。


自分が被害にあった時、ショックのあまり、何が起こったかすぐには実感が無かった。

遠くの友人から「助けたい。欲しい物があれば言って」と聞いてくれたりして、有り難かった。


でもその言葉も、すぐにはピンとこなかった。何が不足かなんてすぐにはわからず、大丈夫と返事をした。


暫くすると、トイレが使えない。水も食料もない。電気もとまり、何もかも不便になった。


時間が経つにつれ、不安と不便さがどっと押し寄せる。


「日本は遅れてるなあ」と実感した。テレビに映るのは、いつも同じ場所。


救援物資が大量に送られる避難所ばかりが写る。


私のいる場所は誰も来ない。何も無い。何故か隣の避難所は手厚くされていると聞く。


結局、援助の厚い?場所へ移動するしかなくなる。


テレビが見れないので、何もわからない。電源が無くなり、携帯もスマホもみれない。



阪神大震災の時の避難所の風景と今も何も変わっていない事に驚いた。
(この時の夫の行動にも嫌気がさしたが)

災害の起こる国だとわかっているのに、国は何も対策をとって来ていない事を思い知らされる。

原発の問題も。


まだ岡山、広島の復興もこれからだという時、関西の台風、そして北海道地震。


いつ南海トラフ地震が起きるかもわからない。


東北、熊本もまだ仮設住宅住まいの人が大勢いる。福島もまだまだ大変な状態。


武器や戦闘機、海外に税金を使いまくる前に、我が国の災害対策を優先すべきだろう。

防衛と言う前に、災害で日本は自滅してしまう気がする。




 
  

夫が豹変する時、顔が変わる。

それは普通の人間では無いような、不思議な顔だ。


いつだったか、姑も同じ顔になった事があった。

その顔を見て、あ、今姑は何か嫌な事を考えてるな、この人と夫は同じだと感じた。


夫の普通の顔、自然体の顔がおかしい。

いつも不自然に表情を作っている気がする。

初対面の演技の顔は、目が下がり、極端な笑顔。


ニヤニヤにも見える。不気味。


本性がでた時の顔は、目が横に線になる。鼻の穴が膨らみ、口が歪む。

普段、気がゆるんでいる夫の顔は、歪んで、しかめっ面という表現が近い。

普段温厚な人を演じているが、油断している時は、とてもそんな人には見えない。



私が前に話した独特の言い回しをそのまま夫が私に話してくることがある。

自分の言葉、感覚のふりをして、自慢気に。
私に言われた言葉だという事を忘れて上から目線で言ってくる。

「この言葉、知ってる?意味わかるかなあ、ふふん。」と。

「それ、私があなたに言って、あなたはきょとんとしていたやつよね。」と内心呟く私。


他にも、(それあの人が言ってた言葉だ。)と思うことが多い。

人の言葉を真似するのだ。自分も同じ考えというならわかるが、そうではない。


むしろ、自分が理解できない考えほど、人に自分の考えとして言う。
賢そうに見せようとして、英語を使ったり、その時の得意げな顔がおかしい。

自分が理解できなかった言葉ほど使いたがる。

他の人も理解できないだろうと思って、同じ悔しい思いをさせようとするのだ。

所詮真似なので言葉を間違えたりする。

英語なら違う単語になっていたり、発音を間違えたり、日本語でも、人から説明を求められると答えられない。
色々ぐだぐだと言葉を並べ「要するに」の連発。

簡単な事でも、「説明して、君にわかるかなあ」と偉そうに言ってごまかす。


私は「要するにって言うけど、全然”要するに”になってない」と言う。

すると、上に書いた様な、変な顔に変わり、黙る。


人を騙す時の言葉使いはスムーズで、キザな言葉をスラスラと使うのに、自分の考えや物事を説明する場面では、誰かの使った言葉を真似して、しどろもどろで訳がわからない。

 


 
  

いつもの事なのだが、夫個人の支払い分を送金してこないので、早く支払う様に催促した。

何年、同じ事を言われても平気で、成長してないのは、自分のプライドも何も無いってことか。

人にはあんなに偉そうに説教しているのが笑ってしまう。

簡単な約束も守らない、謝らない、人に迷惑をかけても平気。


不誠実という言葉がぴったり。


でも、人の事はぼろかす。親の顔が見てみたいとか、反省とか誠実さとか責任感がどうのと、素晴らしい言葉を並べ、「教育してやらないと」というその自惚れはどこからくるのだろう。

しかも、そういう自己矛盾に気が付いていないし、突き詰められると言い訳で逃げる。


自分に異常に甘く、人に異常に厳しい。


こんな人を誰が信用するだろうか。


流石に、この歳になって、仕事では負け組という結果がでているので、それはどうしようもなく、認めざるを得ない。

家庭でも負け組だ。何も成し遂げていない。全て逃げてきた人生の夫。

それは「世の中が悪い」と自分に言い訳しているようで、人にあうと何でも批判的な事ばかり言っているようだ。


もう誰も、夫と親しくする人はいないだろう。表面的な仕事上の付き合いは多いだろうが、心から夫を良く思う人はいないと思う。


こんなに長くだらしない事をしてきて、いまだに送金する前に一言つけてくる。例えば


「大変だなあ。」「借金するしかないか」「ご飯我慢してお金作るしかないか」などなど。
人に借りたお金も返す気の無い人だから、平気なのだ。



いったい何年働いて、今何歳なの?と言いたくなる。

自分の買い物の支払いもそういった大げさな言葉を必ず言ってくる。黙って払う事がない。

まるで私のお小遣いや贅沢な買い物にお金を出すかのような言い方だ。
自分が請求されるお金なのに、もったいつける。


私が貰うお金じゃないし、貰ったこともないし、単にこっちの口座から引かれるだけで、私は管理しているだけ。


なのに、恩きせがましく、やれやれと言った嫌味を必ず言う。私は関係ない。私に言う事ではないのに。
こういう時だけ、家族なんだから連帯責任をとらせようとする。

使う時は借金してでもぱっぱと使う。返済になると、まるで返さないのが当然の様な態度になる。


子どもの学校の費用も、送らない。一円もお金が無いような言い方をする。
仮に送ってくるとしても、それはそれは、もったいぶって恩着せがましい言葉の羅列。

他人なのか?それって父親の義務でしょ。

毎回、そんなに文句言わないとと子どもにお金使えないの?


子育てもしていなくて、それだけで負い目があるはずなのに、扶養しないで何を頑張るの?

普通に家にいて、奥さんが財布を任されているお宅はどうなる?


なんで結婚した?扶養するのが嫌になったならさっさとはっきりそう言って、責任とってきちんとしてくれたらよろしい。

世間には家族を養う為と嘘をつき、やりたい放題だ。家族を見捨てる為というのが正解だ。


自分を悪く言うどころか自分で褒める。


自分勝手に生きたい、責任はとりたくない。でもそれを言うと責められるから言わない。

全部人のせいにしたい。

支払いをもったいぶるその裏で、旅行に行っていたり、友人にお金を寄付したりしている。その寄付は、その後その人に寄生する為のパフォーマンスだ。何かたくらむと、最初はターゲットにいい格好する。



最近は、「また言ってる、馬鹿だね~、そんなの信じるもんか」と笑っている私だ。
何を言ってきても、反応せず、早く払えと何度も催促する。


こういう夫の行動を、全て世間や、調停で暴露できる日がくればよいのに。

夫が、私の前で泣いて土下座する姿を想像して、今日も怒りをおさえている。





  

授業が始まるまで、少し時間があった。

私の前に座ったM君が、いつ振り向いてお金を返すのかと、私とI子は待っていた。


周りの目もあるし、終わってから外でこっそりお金を渡す気かなあとか考えながら、M君にどういう態度をとればよいのか戸惑った。


M君が振り向いて、こっちに挨拶をした。その時、I子がM君に目配せをしたのがわかった。

それでも、M君は気が付かないふりをしていた。


授業が終わって、学生が次々と席を立ち始めた。ざわざわしているし、今かなと待っていた。


が、M君は何事も無かったふりして、こちらと目もあわさず立ち去ろうとした。


「ちょっと待って」とI子が引き留めた。


そしてM君を席に座らせた。

私は事が大げさになってしまって、借金取りみたいで、バツが悪かった。

「持ってきてるよね?なぜ返さないの?」とI子が言った。私は黙って固まっていた。

するとM君は、表情を変えた。私とI子は椅子に座ったままだ。

一度座ったM君は、すくっと立ち上がり、ポケットからお金をだして、私に向けて投げつけた。


「返せばいいんだろ!釣りはいらないよ!」と叫んだ。

お札はくしゃくしゃになっていた。


釣りはいらないよと言われたが、(数十円だったが)私はその場で返した。


何を怒っているのだろう。意味がわからなかった。

私がI子に話して、恥をかかせたと言いたいのか?

私なら、何をしても許してもらえるとでも思っていたのか。初めからうそをついたままほっとくつもりだったはずだ。

悪いのは、嘘をついたM男だ。


見かけのイメージとはかけ離れたM君の一面を知って、「これが結婚相手だったらショックだ。こんな人、絶対無理!」と勉強になった。


そんな一面があるという話は、誰にも話してない。私とI子だけの秘密だった。

他に被害者がでている様には見えなかったので、わざわざ人に言う事ではないと考えた。


後から耳にしたのだが、その時のやりとりを遠くから見ていた女子がいて、

「男の子に、お金の催促するなんて無神経ね。男子ってお金の事言われたら恥ずかしいわよね。M君のプライドを傷つけてひどいわね」
と、裏でお節介な心配をしていた人がいたようだ。


真実を知らないし、まさかM君があんな事をするとは誰も思わないので、たまたまお金を立て替えてもらった後に、しつこく女子から返済を催促されて困っているようにしか映らなかった様だ。

なので、卒業するまで、M君は、皆から一目おかれたリーダー的な立場のままだった。


本当に同じ様な場面が、他の人とは起こらなかったのだろうか?

私だけだったのか、それもわからない。


 
 
  

I子は早速M君に話した。


こんなやりとりをしたという。

I子「この前、りんごと出かけた時に、全部奢ってもらったって喜んでいたじゃない?あれ、どういういきさつでそうなったの?」

M君「どうしてそんな事をきくの?楽しかったんだからいいじゃない。」

I子「りんごが田舎から少ない仕送りで頑張っているのを知っているよね。そんな女子に、全部お金払わせて喜んでいる男の子の神経が理解できないのよね。」

M君「そうだっけ?別にいいんじゃない。りんごも楽しそうだったし、全然嫌な顔してなかったし、君は関係ないでしょ。」

I子「あなたが、全部奢ってと頼んだの?りんごから言いだしたの?」


M君「どうだったかなあ。僕がお金が無いって言ったら、りんごの方からだしてあげるって言った気がするけど~」

I子「りんごから聞いてるのよ。嘘つかないで。財布を忘れたから貸してとたのんだんでしょ。りんごは好意で貸してあげたのよ。すぐに返す人だと信じて。財布を空っぽにするまであれもこれもと使わせといて、返す気もなくて、よく楽しかったなんて言えるわね。このままでは、あなたはりんごに嫌われるわよ。」

M君「りんごに嫌われたくないなあ」

I子「なら、すぐに借りたお金返しなさいよ。」

M君「わかった。明日返すよ。」


これを聞いてあきれた。ここまで言わないと気が付かないどこか抜けた感じ。


見た目、普段の行動とは別人みたいだった。彼はむしろ説教する側の人間に見えた。


M君と同じ授業を受ける日があった。

私とI子が並んで座っていた。遅れてきたM君が私の姿を見つけて、前の席に座った。

私とI子は、緊張した。(ここでお金返すつもりかな?)と目を合わせた。

周りの友人達は何も知らずに私とM君がいつ仲直りするのかと茶化していた。



 

 
  

人は見かけによらない~M君早く返して   続き


私の態度がそっけなくなったのを見ても、M君は何も気づいてない様に見えた。


それともわかっているけどとぼけているのか。


そんな2人の様子に気が付いた友人のI子が、私に聞いてきた。

「最近、M君を避けてるよね。喧嘩でもしたの?皆勝手な想像して噂しているわよ。」と。
すると他の女子も勝手な想像で私が悪いと決めつけ

「冷たくしてひどくない?M君可哀想だわ。どうせあなたの我儘でしょ。」
とまで言いだした。

「それ、M君が言ったの?」と聞くと「ううん、皆の想像よ。M君が悪い訳ないから」と言われた。

ここで、私はI子だけに事情を話した。1人理解してくれる人がいれば良かった。


話を聞いて驚いたI子はこんな事を言った。

「あなたとM君が出かけたその日の事だけど、次の日に彼が話していたわよ。”昨日は楽しかったよ。りんごちゃんが全部奢ってくれたんだよ!”って。
私、M君が女の子に全部お金だしてもらった事を嬉しそうに話すから、ちょっと驚いた。よっぽどりんごが強引にそうしたのかなと思ってた。だってどう考えても、M君が奢るならまだわかるけど、立場反対じゃない?」

は?奢った?違うだろうー!「財布忘れたから貸して!」って、あいつが言ったんだー!


という事実を再度説明し、I子にだけは信じてもらった。


「そんな人だったとはね。でもそれじゃあ、詐欺みたいなもんじゃない。これを許すとM君は益々調子に乗って、また誰か被害者がでるかもしれないわね。でも、お金の催促ってしにくいものよね。私がうまく言ってみるわ!」

とI子は言ってくれ、協力してくれることになった。


 


 
  

私には無理!と感じた相手~M君   続き
 
まさか夕飯までお金を払わす気かと驚いた。

でも、彼は「貸して」と言っているのだ。「払って」と言っている訳ではないのだ。

財布にはぎりぎりお金が残っていた。

私は断った。「もうアパートそこだし、帰る。」と言った。

するとM君は、「もっと一緒にいたいからさ、一緒に食べたいんだ。」と甘えた。

お金がこれしかないからと話して、予算内ならという事で、結局一緒に駅前のレストランで食べて帰った。
その時の彼の食べっぷりも凄くて、驚いた。


この人の食費は凄いのだろうなあと思ったら、もうこれだけで、料理コンプレックスのあった私には結婚相手には無理だと思った。


当時の私は、若さゆえ、今よりずっと気が弱く言いたい事も言えず、お人よしだった。

M君は、スタイルが良く、顔もきりっとして爽やか好青年、ボンボンで育ちの良さそうな大人な印象があった。

結構、周りから一目置かれていて、人気があった。


だから仲良くするとすぐ噂になっていた。

私は恋愛感情は無く、本当に友人と思っていた。

M君は、失恋の傷が癒えてない時期に、たまたま私に励まされて、甘えていただけだと思う。

傍から見れば、私が励ますなんて、そんな風には見えなかったと思う。

田舎臭くて、おとなしくて何も言えなくて弱々しい私を、大人なM君が励ましているのだろうと、現実とは真逆に思われていた。


まさか、M君がこんな遠慮のない人だったとはと私も見た目とのギャップに驚いた。


この日、多めにお金を入れていったつもりが、財布は空っぽになり、その後の生活費が不足する事態になった。


「普通なら、借りた翌日にはすぐに返すだろう。お財布を忘れただけで、お金が無かった訳ではないのだから、それにM君は裕福な家の子だ。」と思い、安心していた。


翌日から学校で毎日会っていたにもかかわらず、M君はお金を借りた事は一切話題にせず、1週間たっても2週間たっても返してくれなかった。


催促するのも気が引けて、ただただ毎日、(早く返してほしい、あなたにとってはわずかなお金でも、私にとっては大切な生活費なんだー)と内心思っていた。

お金の事は人に愚痴りにくいし、彼の名誉の為にも自分ひとり、悩んでいた。


おごってやったと思えばいいじゃないかと自分に言いきかせたりもした。


自分が男子だったら最初から奢ったかもしれないから、気にならなかっただろう。
男の子のM君が、あたり前みたいに女の子に払わせるあの態度がどうしても引っ掛かった。

何の恥じらいもためらいもなく、むしろ、払っとけよみたいな態度。


財布を忘れたのは自分が悪いのに、何で私が偉そうにされなきゃいけなかったのか?

そう言えば、「有難う」とか「助かったよ」とか、全くお礼の言葉も無かった。

もしかしたら、最初から私に払わす気だったのか?財布忘れたは嘘か?

なぜ、借りた事を忘れたふりして返さないのだ?

プライドがあるなら、すぐに返すよね?同性同士でもすぐ返すし、こんな事しないよね。


と色々考えていたら、M君は、見かけとは想像できない誰も知らない一面を私にみせたのだと思った。


この話をしても誰も信じないだろう。と思う位、M君は人望があった。

お金はたいした額じゃないし、あきらめて、M君とは離れようと思った。


 

 

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