りんごの嘆き

気が付けば人生の後半もだいぶ過ぎた。主婦りんごは嘆いてばかり。これからは自分らしく生きる。最後は笑って終わろう。

だいぶ前だが、夫が送ってきたゴミみたいな物。それと一緒に夫の古着が3枚入っていた。

かなり古いジャケットで、中年太りでサイズが合わなくなったものだ。


デザインも古臭く、色も褪せ、2度と着る事はないだろう。

捨てるはずが、もったいないと思ったのか、ゴミを送るついでにこっちに送りつけてきた。


しかも、汚れたまま、洗っていない。臭い。

私に「捨てるな、保管しといて」と言ってきた。

保管するなら自分でクリーニングだせばいいだろう。


こっちでクリーニングにだせと?

クリーニング代を払う生活費もろくに送って来ないのに?

まだ使うつもりなら自分で保管すればいいじゃないか。

そうやって人にゴミを押し付け、自分は新しい物をバンバン買って、ゴミの事は忘れる。


こっちで処分すれば、「何で勝手に捨てたんだ。あれはまだ着るはずだった。」と嘘を言い、嫌がらせ。

「なら、自分で大事にとっとけばよいではないか、汚れたまま人に預けといて勝手な話だ」と言い返すととぼけてその場から離れる。


なので、その汚れたジャケットはそのうち捨ててやる。どうせカビだらけになる。

何年かそのまましといて「かびだらけだったし、虫くいの穴だらけだったから捨てた」と言えばよい。

「洗っていたんでしょう?まさか汚れたまま送ってないわよね」と言って、

「大事に保管していたけど、長い間帰ってこないし、着る様子もなかったから仕方ないわね。」

と笑って言ってやるつもりだ。

嫌味男には嫌味で返す。

そしてもう一つ~見つけた物がある。


ジャケットのポケットに名刺が入っていた。

どこかのお店の女の子の名刺。裏に「また来てね」とメモがあった。


夫がモラハラで、「家族のせいでお金がない」だの、「何も食べてないだの」と言ったら、ふーん、こんな所にいけてるのにねと言ってやろうと思ったが、それはそれは慣れた言い訳をしてくるのは予想がつく。

逆に、言い訳を言いながら、そのままモラハラが始まるだろう。


だから名刺の事を言う気もない。もうどうでもいい。


ついにもうどうでもいい、と思える存在になった。


存在を忘れている時間の幸せよ(笑)



 



 

私は弟が在宅する事を確認して予定を組んだ。

普段は子どもに甘えずしっかりしている母なのだが、弟が留守をすると母は不安になり、パニックになる。
それに加えて私まで旅行にいけば、更に不安をあおるかと思い、弟が在宅の時期を確認して予定をたてたのだ。

私は短期だが、弟はなんと1か月留守するという。


しかもだ、弟嫁は今、旅行中ですでに2か月家にいない。もうすぐ帰宅するはずが予定変更したらしい。


母が手術しようが、父が倒れようが関係なく旅行にいっていた人だから、嫁には期待はしていない。


私が旅行の予定をたてたと知り、弟嫁が帰宅を更にのばし、弟も自分の滞在先に来る様に指示し、飛行機のチケットもとったというのだ。

父も母もいつ倒れるかわからない年齢。

せめて私か弟のどちらかが、すぐに駆けつけられる様にしておきたい。


それは弟もわかっている。
だが、嫁の命令が優先なのだ。確かに親より自分の妻子優先は良い旦那さんだと思う。当然だ。
でも、弟の家庭は普通ではない。


私への嫌がらせかな。なぜそんな事をするのだろう。


弟に聞いたら、「帰ってもやる事ないし、まだこっちで遊ぶことにしたわ。あなたも来なさい。」と言って、絶対に話を聞かないのだそう。

弟は無神経なのか、正直に嫁の言った事を話す。


弟も父に似て、弱いのだ。強い人に流される。喧嘩をしたくない。面倒くさいという。


こっちにまで被害がくるのは困る。

弟は嫁をかばう。話題にしない。全て自分が背負う。男のプライドか。


弟は長く留守する事を母にはまだ内緒にしているという。


母に反対されるから直前に言って、強引に出発するつもりか。


弟夫婦は、実家では王様と女王様だ。

何もしない。すわって威張っている。


母がおろおろしてお茶をだしたり、食事を作ってやる。嫁も座ったまま、一度も立たない。

いつか世話になり、葬式もだしてもらうのだからと我慢する母。


もう馬鹿馬鹿しくなった。私は自分の予定は変えない。好きにする。

母にも全部話しておこう。




  



私の旅行の事だが、夫より前に意外なところから妨害?が入った。


歳老いた両親とは我が家は県外で離れているので、近くにいる弟が何かあれば対応している。


今回の旅行は高齢の親に何かあった時の事も考え、短期にし、弟にも伝えていた。


親にはまだ話していない。まあ私がどこに行こうが、元々遠くにいるからあてにされていない。

弟が長く留守をすると母は不安でパニックになる。


以前、父が救急車で運ばれた時、弟夫婦は旅行中だった。

退院したばかりだった母は、私には連絡せず、すぐに弟を呼び返した。

弟嫁は、倒れた父を「自己管理がなってない」と批判し、帰るどころかそれから1か月旅行から帰らず、帰宅しても挨拶ひとつしに来なかった。


弟は嫁にモラハラをうけているのではないかと最近感じる。

完全に共依存になっているのではないか。弟嫁に何も言えず、じっと耐えている気がする。


以前弟が鬱で入院した時、嫁は仕事のせいにしたが、私は嫁が原因だと思った。


おそらく私の両親が甘すぎるからだと思う。


毅然とせず、世間体を気にしていい格好するが、私からみれば自己満足にすぎない。

どんな非人間的な目にあっても、喧嘩ができない気の小さい父は完全に舐められる。


だから私も弟もそういうモラハラ体質の人のターゲットになりやすいのだろう。

私は相手の性質に目が覚めたが、弟はモラハラという事すら頭になく、洗脳された感じで魂が抜けた感じがする。


話を戻して、弟からメールがきたのだ。

私の旅行とかぶる日程で、旅行にいく事にしたという。




  

前に書いた、自分自身のちょっとした旅行の計画、やっと飛行機の予約がとれた。

新幹線に比べ、半額だった。


これで少しだけストレス発散できる。
後は、夫にばれない事だ。嫌がらせを受けない様にしないと。
もし、ばれた場合、わざと当日に帰宅してきたり、用事を言いつけたり、それをしなくても嫌味、更に経済的DVをしてくるだろう。

そして世間には、”いつも自由に遊んでばかりの妻”を許す寛容な夫、費用は自分がだし、自分はその分我慢して犠牲になっているが、気にしないおおらかな夫。を演じる。
全て嘘。費用はだすはずがない。生活費もけちるのに。

馬鹿馬鹿しいな。向こうは勝手放題してるのに。嫌味を言いたいのはこっちの方だ。


何で人が幸せな思いをするのが嫌なのか。こんな人といると頭がおかしくなる。


私が不幸で、我慢ばかりの生活をしていたら、夫は喜び、こう思うのだ。

「そこまで苦しませても逃げないのは、よっぽど僕の事を必要としているのだ。それほど僕には価値があるのだ。僕がそばにいて毎日楽をさせたら、当たり前に思って僕の価値がわからなくなるだろう。
だからもっと離れて価値をわからせよう、苦労させよう。」


ぞっとする。サイコパスな一面も感じる。


良かった、今は遠く離れていて。

というか、そんな変人と夫婦なのが嫌でたまらない。



 

面白い事があった。

友人、と言ってもさほど親しくない遠くに住む知人なのだが、SNSで交流がある人がいる。


あまりネットはやらない人で、忘れた頃にブログなどに写真だけアップする程度の人だ。


たまに覗いて、元気かなとお互い確認する程度。

密に連絡を取り合う仲ではない。


その知人のSNSを久し振りに覗いた。


夫婦旅行に行った様で、何枚か旅先の写真がアップされていた。今年の夏だ。



いいなあ、素敵なご主人で。いくつになっても仲良くて。

夫婦で旅行できるという事は、仲良くないとできないし、ご主人に経済的も時間的にも余裕があるということだ。

夫も最初は一緒に旅行に行きたいだの、大事にするだの、絶対単身赴任も出張も嫌だの、大嘘ついていた。
「じゃあ、いつ行く?」とか具体的に聞くと、「いつか。」「そのうち」とはぐらかし、私が費用も準備も全部するなら一緒に行ってやるみたいな言い方をし始めた。


夫を信じた私の失敗だが、もう今は一緒にいたくないからいい。向こうは一生孤独に終わってほしい。


話は戻り、その知人の旅行写真の中に偶然にも夫が写っていた。


何かのツアーにたまたま一緒に参加したのだろうか。

その知人は夫を知らないから情報は入ってこないし、こちらから聞くつもりもないが、笑ってしまった。


私には、食べるのを我慢しているだの、自分だけが辛抱しているだの、支払いのお金も、ぐだぐだ言ってなかなか送ってこないのに。

食事を我慢できる人ではない。食べ物には貪欲。その為に別居した様なものだ。

子どものおかずもとって食べる人だ。嘘なのは知っている。


こうやって、遊びまくっていればお金は無くなるはずだ。というより、こちらに一円も送りたくないから故意に使いまくって、お金が無くなれば本当に送らずにすむからと思っているのかもしれない。

と思いたくなるほど。


写真には、知人の後ろにちらっと写っているので、はっきりどんな状況かはわからない。1人なのか、複数で行ったのかとかは写真からは不明。3枚に写っていた。

横顔や、後ろ姿。間違いない。

ただ、そこにいる事だけはわかる。仕事ではなく、あきらかに観光している事はわかった。


近い所ではないので、旅費だけでも安くはないし、日帰りできる場所では無い。


これは、何かあった時の証拠にとっておこう。


まあ、言い訳のプロだから、誤魔化すだろうが。


以前も、似た様な嘘がばれた時、何も言われていないのに、自分から言い訳し始めた事があった。

「友人に無理やり誘われて、全額その人の驕りで行った。」と、自分からべらべら言いだした。


人にお金をだしてもらってまで遊びに行くとは、プライドも何も無い人だ。そんな人夫の周りにはいない。むしろ嫌われている方だ。


それが何度もいろんな場面で色んな人から奢ってもらって行った。と言う。
一度確認したら嘘だった。


奢ってもらったのではなく、むしろ騙しとっていたんじゃないのか。私みたいに。


自分一人で遊んで使ったお金も、全部人に誘われた、人に出してもらったと言う。


そこまで嘘ついて、家族を騙し続けるなんて。

家族どころか他人よりもっと遠い、宇宙の果てまで離れた関係だと思う。

家族の心は遠く離れてしまっている事に気がついているのだろうか。





 
 

昨日の間違いメールに気が付いたのか、一部の送金があった。


催促ついでに話題にされたくないからあわてて送ったのかもしれない。


最初から素直に支払えばすむこと。本来向こうの支払いで、私には関係ないこと。


逆にこっちが同じ事をしたらどういう反応があるだろう。



もし私が、意味深なメールを間違えて夫に送ってしまったら。

自分のいないところで家族が楽しい思いをするのは嫌な人だから、何か嫌がらせをしてくるだろう。それも、うまい理由をつけて、嫌がらせに見えないように。

陰湿さは変わらず、家族はキープする。自分の老後の為に必要だから


向こうから絶対に縁は切らないと思う。自分から言いだすと損をするからだ。色々こちらから請求されるものがあるから。


どこにいっても、人間関係はうまくいかないし、逃げ場はないはず。


家庭を大事にしていれば自宅が逃げ場になった。最初はそのつもりだったのだろう。

自分が何をしても家族は言いなりになる、騙せると甘く見ていた。


今はおそらく、いつ私から離婚届けが送ってくるかわからないと思っている。

だからこそ、自分が損しない為の作戦ばかり考えて居るのだ。

反省とか後悔をして、少しは健気に家族を大事にする態度が見えても良さそうだが。


人の性格は変わらないので、いくつになっても、同じ事を繰り返していくのだろう。

やり直すのではなく、また現実逃避をして、新しいターゲット探しを繰り返すのだ。





 




今日こちらから、夫に催促メールをしたが、反応が無く、入金も無い。


また無視かと思ってイライラしていたら、夕方になってメールが来た。


言い訳かなと思いながら読むと、???


おそらく送信先を間違えている?


「この前のお礼ですから気にしないでください。またお邪魔させて頂きます。」だと。


絶対私宛ではない。


まあ、誰かに贈り物をしたのだろう。何か一緒に楽しい事をして、お礼をしたのだろう。
文末に絵文字までつけていた。

相手は新しいターゲットでなければ良いが。

夫と子ども達と一緒に旅行に行った事は一度もないまま、子育ては終わってしまった。
子どもに一番お金と手がかかる時期に、生活費をまともに送らず、夫は友人と旅行やキャンプに行っていた。

家族には嘘をついて生きている。
まだそういうお気楽な生活をしている様だ。


だから、結婚生活の思い出が何もない。
騙され続けてきた失敗の人生。


人は別れる時、その人との思い出に縛り付けられるし、思い出があるから別れがつらいのだと思う。


でも、夫に関しては思い出が何もないから、例え急な別れが来ても、子どもにはそれほど喪失感は無いかもしれない。
良くしてくれる近くの他人の方がよっぽど情がある。


夫の愚かさは、

お金では買えない大事なもの、それを自分で捨てている事だ。

夫には、本当に大事なもの、宝が何であるかわかっていない。


他に居場所を見つけて、そこに行きたいという訳ではなく、どこでもよいからとにかく自分1人で気楽に食べたい物を食べて、したい事をしたいだけだったのだ。

もし、私が同じ事をしたらどうなる?

「女のくせに」「母親なんだから」「妻として失格だ」の何だのと、批判するはずだ。


夫は家族の気持ちも理解できない。


自分の我儘を理解しない方が悪いと言いだすから、話し合いもできない。


「あなたは本当に馬鹿だよね」と言いたくなる。「目を覚ましなさいよ」と。

でも、そういう自分を批判する言葉には敏感で、過剰に怒りだすのは予想できるから言わない。

わからないから、普通じゃないってことか。可哀想に。


さて、送信相手を間違えた事、気が付いているかな。


 

 

いつもの事なのだが、夫個人の支払い分を送金してこないので、早く支払う様に催促した。

何年、同じ事を言われても平気で、成長してないのは、自分のプライドも何も無いってことか。

人にはあんなに偉そうに説教しているのが笑ってしまう。

簡単な約束も守らない、謝らない、人に迷惑をかけても平気。


不誠実という言葉がぴったり。


でも、人の事はぼろかす。親の顔が見てみたいとか、反省とか誠実さとか責任感がどうのと、素晴らしい言葉を並べ、「教育してやらないと」というその自惚れはどこからくるのだろう。

しかも、そういう自己矛盾に気が付いていないし、突き詰められると言い訳で逃げる。


自分に異常に甘く、人に異常に厳しい。


こんな人を誰が信用するだろうか。


流石に、この歳になって、仕事では負け組という結果がでているので、それはどうしようもなく、認めざるを得ない。

家庭でも負け組だ。何も成し遂げていない。全て逃げてきた人生の夫。

それは「世の中が悪い」と自分に言い訳しているようで、人にあうと何でも批判的な事ばかり言っているようだ。


もう誰も、夫と親しくする人はいないだろう。表面的な仕事上の付き合いは多いだろうが、心から夫を良く思う人はいないと思う。


こんなに長くだらしない事をしてきて、いまだに送金する前に一言つけてくる。例えば


「大変だなあ。」「借金するしかないか」「ご飯我慢してお金作るしかないか」などなど。
人に借りたお金も返す気の無い人だから、平気なのだ。



いったい何年働いて、今何歳なの?と言いたくなる。

自分の買い物の支払いもそういった大げさな言葉を必ず言ってくる。黙って払う事がない。

まるで私のお小遣いや贅沢な買い物にお金を出すかのような言い方だ。
自分が請求されるお金なのに、もったいつける。


私が貰うお金じゃないし、貰ったこともないし、単にこっちの口座から引かれるだけで、私は管理しているだけ。


なのに、恩きせがましく、やれやれと言った嫌味を必ず言う。私は関係ない。私に言う事ではないのに。
こういう時だけ、家族なんだから連帯責任をとらせようとする。

使う時は借金してでもぱっぱと使う。返済になると、まるで返さないのが当然の様な態度になる。


子どもの学校の費用も、送らない。一円もお金が無いような言い方をする。
仮に送ってくるとしても、それはそれは、もったいぶって恩着せがましい言葉の羅列。

他人なのか?それって父親の義務でしょ。

毎回、そんなに文句言わないとと子どもにお金使えないの?


子育てもしていなくて、それだけで負い目があるはずなのに、扶養しないで何を頑張るの?

普通に家にいて、奥さんが財布を任されているお宅はどうなる?


なんで結婚した?扶養するのが嫌になったならさっさとはっきりそう言って、責任とってきちんとしてくれたらよろしい。

世間には家族を養う為と嘘をつき、やりたい放題だ。家族を見捨てる為というのが正解だ。


自分を悪く言うどころか自分で褒める。


自分勝手に生きたい、責任はとりたくない。でもそれを言うと責められるから言わない。

全部人のせいにしたい。

支払いをもったいぶるその裏で、旅行に行っていたり、友人にお金を寄付したりしている。その寄付は、その後その人に寄生する為のパフォーマンスだ。何かたくらむと、最初はターゲットにいい格好する。



最近は、「また言ってる、馬鹿だね~、そんなの信じるもんか」と笑っている私だ。
何を言ってきても、反応せず、早く払えと何度も催促する。


こういう夫の行動を、全て世間や、調停で暴露できる日がくればよいのに。

夫が、私の前で泣いて土下座する姿を想像して、今日も怒りをおさえている。





授業が始まるまで、少し時間があった。

私の前に座ったM君が、いつ振り向いてお金を返すのかと、私とI子は待っていた。


周りの目もあるし、終わってから外でこっそりお金を渡す気かなあとか考えながら、M君にどういう態度をとればよいのか戸惑った。


M君が振り向いて、こっちに挨拶をした。その時、I子がM君に目配せをしたのがわかった。

それでも、M君は気が付かないふりをしていた。


授業が終わって、学生が次々と席を立ち始めた。ざわざわしているし、今かなと待っていた。


が、M君は何事も無かったふりして、こちらと目もあわさず立ち去ろうとした。


「ちょっと待って」とI子が引き留めた。


そしてM君を席に座らせた。

私は事が大げさになってしまって、借金取りみたいで、バツが悪かった。

「持ってきてるよね?なぜ返さないの?」とI子が言った。私は黙って固まっていた。

するとM君は、表情を変えた。私とI子は椅子に座ったままだ。

一度座ったM君は、すくっと立ち上がり、ポケットからお金をだして、私に向けて投げつけた。


「返せばいいんだろ!釣りはいらないよ!」と叫んだ。

お札はくしゃくしゃになっていた。


釣りはいらないよと言われたが、(数十円だったが)私はその場で返した。


何を怒っているのだろう。意味がわからなかった。

私がI子に話して、恥をかかせたと言いたいのか?

私なら、何をしても許してもらえるとでも思っていたのか。初めからうそをついたままほっとくつもりだったはずだ。

悪いのは、嘘をついたM男だ。


見かけのイメージとはかけ離れたM君の一面を知って、「これが結婚相手だったらショックだ。こんな人、絶対無理!」と勉強になった。


そんな一面があるという話は、誰にも話してない。私とI子だけの秘密だった。

他に被害者がでている様には見えなかったので、わざわざ人に言う事ではないと考えた。


後から耳にしたのだが、その時のやりとりを遠くから見ていた女子がいて、

「男の子に、お金の催促するなんて無神経ね。男子ってお金の事言われたら恥ずかしいわよね。M君のプライドを傷つけてひどいわね」
と、裏でお節介な心配をしていた人がいたようだ。


真実を知らないし、まさかM君があんな事をするとは誰も思わないので、たまたまお金を立て替えてもらった後に、しつこく女子から返済を催促されて困っているようにしか映らなかった様だ。

なので、卒業するまで、M君は、皆から一目おかれたリーダー的な立場のままだった。


本当に同じ様な場面が、他の人とは起こらなかったのだろうか?

私だけだったのか、それもわからない。


 
 

I子は早速M君に話した。


こんなやりとりをしたという。

I子「この前、りんごと出かけた時に、全部奢ってもらったって喜んでいたじゃない?あれ、どういういきさつでそうなったの?」

M君「どうしてそんな事をきくの?楽しかったんだからいいじゃない。」

I子「りんごが田舎から少ない仕送りで頑張っているのを知っているよね。そんな女子に、全部お金払わせて喜んでいる男の子の神経が理解できないのよね。」

M君「そうだっけ?別にいいんじゃない。りんごも楽しそうだったし、全然嫌な顔してなかったし、君は関係ないでしょ。」

I子「あなたが、全部奢ってと頼んだの?りんごから言いだしたの?」


M君「どうだったかなあ。僕がお金が無いって言ったら、りんごの方からだしてあげるって言った気がするけど~」

I子「りんごから聞いてるのよ。嘘つかないで。財布を忘れたから貸してとたのんだんでしょ。りんごは好意で貸してあげたのよ。すぐに返す人だと信じて。財布を空っぽにするまであれもこれもと使わせといて、返す気もなくて、よく楽しかったなんて言えるわね。このままでは、あなたはりんごに嫌われるわよ。」

M君「りんごに嫌われたくないなあ」

I子「なら、すぐに借りたお金返しなさいよ。」

M君「わかった。明日返すよ。」


これを聞いてあきれた。ここまで言わないと気が付かないどこか抜けた感じ。


見た目、普段の行動とは別人みたいだった。彼はむしろ説教する側の人間に見えた。


M君と同じ授業を受ける日があった。

私とI子が並んで座っていた。遅れてきたM君が私の姿を見つけて、前の席に座った。

私とI子は、緊張した。(ここでお金返すつもりかな?)と目を合わせた。

周りの友人達は何も知らずに私とM君がいつ仲直りするのかと茶化していた。



 

 

↑このページのトップヘ